風花病棟 作:帚木蓬生 感想

短編集ですが、ほんと帚木さんの作品は泣けるんです。今回の風花病棟は、花がテーマにあります。花って、絵になりますよね。だって、見ているだけで癒されたり、なごんだり、落ち着いたりで、無言の花なんだけど引き込まれる美しさと、語りかけてくる神秘さがありますよね。そんな花が短編それぞれに散りばめられています。なかでも私が好きなのは、『百日紅』と『チチジマ』で、両方とも、父と息子が出てくるんです。それも父は亡くなっていて・・・なんというか、私もこの歳だから同じようなシュチュエーションが響くのかもしれません。読んでいて通勤電車の中でしたが、涙で本が見えなくなりました。
人が亡くなる場所のほとんどが、現在では病院といいます。病院には、だから人それぞれの物語のエンディング、ライフ・エンディング・ステージがあり、それは命の尊厳が担保される場所であることが大切です。すべては人、人が創る空間なんです。