2011-01-01から1年間の記事一覧

九月が永遠に続けば 作:沼田まほかる 感想

季節は冬になって、9月は過ぎた頃ですが、書店に立ち寄ると、人気No.1と書かれたPOPがあり、思わず手にとってしまいました。 この本、ゴミ出しに行って、忽然と消えた息子の文彦、いったいどこに行ってしまったのだろうか、幼馴染が、クラスメートが、そして…

ファミリーポートレイト 作:桜庭一樹 感想

マコとコマコ・・・親が子を愛する気持ち、子が親を慕う気持ち、ファミリーポートレイトという一見して、温かそうな響きのある言葉とは真逆の世界感がこの本にはありました。 ここには、何かから逃げる生活を繰り返しているマコとコマコの2人。コマコの歳を…

平成猿蟹合戦図 作:吉田修一 感想

いったい誰が主人公だったんだろう・・・タイトルの『猿蟹合戦』があっちこっちにあって・・・というのが読後の第一印象でした。昔話の『猿蟹合戦』は、思い起こすと柿を持っていた「サル」とおにぎりをもっていた「カニ」が物々交換して、カニが柿の種を植…

正義のミカタ 作:本多孝好 感想 

あなたには「正義のミカタ」がいますか?その人はどんな人ですか・・・この本、いじめられっ子の亮太が地元のいじめっ子がいない新天地の大学に進学して、そこで出会った『正義の味方研究部』の面々と一緒になり、キャンパスで起こる悪事に対し正義の鉄槌を…

真夜中のパン屋さん 作:大沼 紀子 感想

「パン屋さんが真夜中にやってても売れないじゃん。」そう思って手にとったのが、この本です。端的に言うと心温まる本です。真夜中しか営業しないパン屋。人の心を癒せる男と愛情を込めたパンを作れる男、2人で営業するパン屋。現実では、なかなか無いパン…

心を整える。 作:長谷部 誠 感想

この本を読む前も長谷部さんは好きでしたが、サッカーのルールは詳しく知らないので買わずに図書館で借りました。が・・・読んでからこの本は絶対買って読んだ方がいいと思いました。サッカーのルールを全く知らない人でも、長谷部さんの人生における教訓の…

悪の教典 作:貴志祐介 感想

読みはじめは、『告白』のような展開になるのかなと思ってたんですが、蓮実は予想をはるかに超えた狡猾さで、二手三手先に手を討ってくるんです。その策略の根底になるものは、まさに情報であり、マーケティングです。なんだかドラッガーの理論を忠実に再現…

箱庭図書館 作:乙一 感想 

ボツ原稿を乙一流にリメイクすることで生まれたそれぞれの物語は、それぞれの味やベクトルがあるものの、主人公に連鎖性を持たせることで、それぞれのパズルピースがぴったりはまって一枚の絵を作っているかのようです。匠の技を目の当りにしているようで、…

王様ゲーム 滅亡 6.08 作:金沢伸明 感想

王様ゲーム・・・書かれている内容のパターンが分っていてもまた手にとってしまいました。最新刊が出るたびにどうも気になるんです。『首がゴロン』・『手足が落ちた』などグロい表現があって「次は読むもんか!」って思っていたのに、少し時間がたって書店で…

困っている人 作:大野更紗 感想

病気と対峙するって、どんなに具合が悪くても、強い意志で自分が努力しないといい方向に向かないんだな。努力したぶんだけ好転するのは、病気以外のことと同じ・・。また、どんなに信じていたいと思う医師でも、所詮は『他人』であり『自身』ではない。だか…

四十九日のレシピ 作:伊吹有喜 感想

普通しっとりと執り行われる四十九日法要が、こんなにもたくさんの人たちの想いに暖かく囲まれて大宴会のようになるなんて、その人が生前にやってきた「人と接するときの献身的な優しさ」や「覚悟」が伺えて、すごく幸せな人生であり、そして充実した濃密な…

ツナグ 作:辻村 深月 感想 

一生にただ一度だけ、亡くなった人と会えるとしたら、あなたは誰に会いたいですか? 重たくて神への冒涜のような事柄かもしれませんが、こんなことができるのが『ツナグ』=『使者』なんです。使者の役割は、会いたいと申し出があった死の世界にいる相手に現…

ふがいない僕は空を見た 作:窪 美澄 感想

毎日暑いですね。節電の夏が来て、どうしても逃げられない暑さが襲ってきて、日陰に涼を求めてもコンクリートの照り返しでムッとしていて、なのにメタボの私の体重は増加傾向にあり(関係ないか)、すべてのものに矛盾を感じ、自分の力のなさにすこし嫌になっ…

続・星守る犬 作:村上たかし 感想

前作の「星守る犬」、ブックナビで紹介されていて電車の中で読んだら、失敗したと思うくらい泣けてきた記憶が残っています。今回の「続・星守る犬」も昨日のブックナビで紹介されていましたが、前作とは違った感動があり、非常に勇気づけられる内容になって…

東京タワー 作:リリー・フランキー 感想

ここ一ヶ月いろいろなことが起きすぎました。爪あとは深く、これからも復活への道のりは長く続きます。人は今日と明日が違うように、一歩一歩進むことができます。明るい未来はすごそこにあり、手繰り寄せるのは、私たちです。そのためには、今みんなが力を…

夜の桃 作:石田衣良 感想

この本、全篇に渡り「男と女」のことが書かれているので、公共の場で読んでいると使用されている言葉がそれ風なので、フランス書院文庫に間違われるかと危惧するくらい過激でなま生しかったです。初めは「エッそれがテーマ?!」なんて思いましたが、実は「…

ダイイング・アイ 作:東野圭吾 感想

テレビでは、嵐の相葉くんが「バーテンダー」を演じていますが、このダイイング・アイの主人公の慎介も職業はバーテンダーです。相葉くんのバーテンダーは違いますが、一般的にバーテンダーというと夜のイメージに加えて、斜に構えて悪の香りがするのですが…

あの頃の誰か 作:東野圭吾 感想

最近の東野作品は『まさかのいきなり文庫!』があり、読者としては、単行本より安価に最新作が読めると言う点で非常に助かっています。この流れは、東野作品だけでなくもっと多くなってくると価格的にみても『電子書籍』の対抗になると思うのは、私だけだろ…

MOMENT 作:本多孝好 感想

病院というある種『希望』と『無念』がないまぜになっている環境下で、長期の入院患者で、しかも末期のいわば助からない患者の耳にしか入らない噂がその病院には存在する。それは、死を間近にした患者の願いをたったひとつだけ死の前にかなえてくれる人がい…

小さいおうち 作:中島京子 感想

東京郊外の閑静な住宅街、昭和初期そこにはまだ森や緑があふれていて、自然の中の小さな赤屋根の洋館の佇まいは、落ち着いていて、あったかくって、そして人の気持ちがあった。 昭和の初め、山形出身のタキは、十三歳で東京に女中奉公に入った。奉公先は小説…

王様ゲーム 臨場 作:金沢伸明 感想

ほぼ1カ月、本の感想をお知らせするのを勝手にお休みさせていただいてましたが、やっと少しずつ体も伸ばせるようになりましたので、拙い内容で恐縮ですが、またボチボチ更新させていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 さて、今年の書き始めと…

謹賀新年 春からメデタイ ラッキーエビス瓶!

《 謹賀新年 2011年 》新年明けまして、(もう8日目になってしまいましたが)おめでとうございます。昨年中いろいろとご支援・ご鞭撻を賜り、ありがとうございました。皆様のおかげで、細々ながらブログも書き続け、なんとか生きながらえております。今年は…