2010-01-01から1年間の記事一覧

at Home アット・ホーム 作:本多 孝好 感想

やばいです。この本、わたしのようなミドルエイジの家庭持ちには涙腺が破壊されたように涙が止まらなく鼻水ジュルジュルになれる内容です!ちまたにある通信教育の宣伝で『合格保証』といったものを見かけますが、この本は、家庭持ちで手のかからなくなった…

フリーター、家を買う。 作:有川 浩 感想

このフリーター、ただもんじゃないね。自分で道を切り開けるのだから、いままでの自分を客観視して、悪いところは悪いといえるのだから、こんな人間なら変貌のきっかけはともかくとして、何人でも社員に欲しいものです。 舞台は、主人公の武誠治の家庭と、大…

ラットマン 作:道尾秀介 感想

大沢在昌の『優れた小説を読みたいから、私は彼の作品を読んでいる。それは、私が小説家であることとは何の関係もない。』という解説にグッ〜!と引き込まれて一気読みしました。この作品、期待以上に読み手を楽しませてくれて、大沢在昌が『道尾作品で一番…

麦の海に沈む果実 作:恩田陸 感想

恩田作品って、ファンタジーのような中にも細かい生活や心理描写があり、はじめは不思議感満載でとっつきにくいと思いながら読み始めるのだけれど、いつの間にかその不思議ワールドがあたりまえのもののようになってきて、ついには物語の世界に引き込まれる…

ある日、アヒルバス 作:山本幸久 感想

以前仕事の関係でバス会社様にお世話になったことがあり、それ以来、何かにつけ『バス会社』が気になっています。そんな中で、書店の店頭に黄色のカバーで、すましがちに積まれている「アヒルバス」が目につき、脇目もふれず手に取りました。この本、ごく普…

白銀ジャック 作:東野圭吾 感想

書店のPOPで『いきなり文庫!』お得感のあるこの言葉に、素直につられました。(これからは、この形式が増えると読み手にとってすごく優しいですね、と思うのは私だけでしょうか?)舞台は、新月高原スキー場・・・若かりし20代の頃、スキー全盛期で、「私を…

死亡フラグが立ちました! 作:七尾与史 感想

思わずタイトルにつられて手に取った本、期待を裏切る面白さに、つい、ほくそ笑んでしまいました。主人公は売れないフリーライターの陣内、出版業界の最底辺にいることを自らうたう人物だ。その陣内の唯一の収入源が、日本全国の都市伝説をテーマにしたオカ…

フリスクケース!

今日、世界にひとつしかないものをいただいちゃいました!ロゴといい重厚感といい、まさにこだわりがあり、あたたかさすら感じられます。ありがとうございました。みんなに、なにげにみせびらかしながら使っていきます!!

ボーナス・トラック 作:越谷オサム 感想

近所の書店に行き「次は何を読もうか」思案していると、地元の作家としてサイン本が出てました。それで、思わず手にしたのが、この本『ボーナス・トラック』です。内容もわからなかったのですが、地元とサインという2つのキーワードだけで、「面白いに違いな…

宿命 作:東野圭吾 感想

先週に引続き、東野作品を読みました。やぁ〜飽きさせない面白さがギッシリ詰まっていてさすがですね、次々読みたくなります。この『宿命』、主人公は親子2代で刑事の勇作。UR電算という大企業の社長が殺されたことに端を発し、元社長の息子で同級生の晃彦と…

卒業 作:東野圭吾 感想

『雪月花之式』ってわかりますか?私は、はじめてこの本で知ったのですが、茶道のカードゲーム(札によるクジ引き)のようなもので、雪:茶を飲む人,月:菓子を食べる人,花:次の茶の準備をする人を毎回札を引いて決めていく。もちろん札には、表に松の絵、裏に…

夜行観覧車 作:湊かなえ 感想

どうしても『告白』の衝撃が頭に残っていて、湊作品に手が伸びてしまう。あのそら恐ろしいまでの人間の深層心理に迫った行動・人の心の表と裏にまた触れたくて・・・この本、舞台は丘の上の高級住宅街「ひばりヶ丘」、そこに住むご近所3家族の物語である。…

夏と花火と私の死体 作:乙 一 感想

屍鬼に続いて読んだこともあり、死んでしまった女の子が主人公に据えられていて語るのは特にびっくりもせず、普通に受け入れたのですが、この本、作者が16歳の時に書いたもの・・・というくだりを解説で見て唸ってしまいました。相当上手いですね!ジャンル…

屍鬼 作:小野不由美 感想

秋葉原のヨドバシにある有隣堂の売行きBEST5の1位だったので、読んでみました。5冊、約2500頁余りとボリュームはありましたが納得の一冊で、読後の今の感想としては本のタイトルからは想像できないかもしれませんが、人間というものと生きるということについ…

美丘 作:石田衣良 感想

TVドラマで『美丘』がはじまって、原作が石田衣良ということで、読んで見ました。思ったことをまっすぐに表現し、思った通りに行動する。できるようで、なかなかできないことを素で行動してみせる『美丘』、普通の大学生でありながら、火のついた導火線のよ…

王様ゲーム終極 作:金沢信明 感想

3月に読んだ王様ゲームの続きでしたが、今回は『終極』というにふさわしい最後だったのかもしれません。 前回の王様ゲームで一人生き残った信明は転校し、転校先の仲間とは距離を置いた付合いをしようとしていた。しかし、それは自分との葛藤となり、結果、…

インシテミル 作:米澤穂信 感想

サブタイトルが『7日間のデス・ゲーム』、藤原竜也・綾瀬はるか他出演で、映画化されており、10月16日から全国ロードショーということで、ミーハーですが、子供と順番に読んで見ました。中学生の娘は、「すごく面白い!」ということで、作者の米澤さんの他作…

永遠の0 (ゼロ) 作:百田尚樹 感想

今年もあの8月15日が来る。遠く暑い夏の日の玉音放送、『忠誠』『信念』『混沌』『失望』そして、当時熱い想いはあるものの口にしなかった『愛』・・・あの日から65年、あの時の孫世代にあたる私ですが、家族をもって、子を想う視点から改めて戦争を見つめな…

交錯 作:堂場瞬一 感想

青山の時計・宝飾店で起きた高級時計盗難事件、そして、新宿の路上で起きた傷害事件、2つの事件が捜査の過程で交錯する。あわせて、冷静沈着・頭脳派刑事の西川、そして猪突猛進・行動派刑事の沖田、同期でありながら相反するスタイルで敵対していたこの2人…

光媒の花 作:道尾秀介 感想

あの『向日葵の咲かない夏』以来、久々に道尾作品を読んでみました。あの不思議ワールドは健在ですね!!!『向日葵・・』とは違い日常生活や人間の機微・想いが描かれているものの、最終編の「遠い光」に至ってはどんなふうに理解したらいいのか、また受け…

階段途中のビッグ・ノイズ 作:越谷オサム 感想

ウォーターボーイズ、スイングガールズ、ルーキーズそして、最新はタンブリングと高校の部活の物語って、思わず引き込まれような魅力がありますよね。いくつもの苦難やいやがらせなどを乗り越え、目標に向かってみんなで邁進する。そこには、そのときにしか…

かたみ歌 作:朱川湊人 感想

昔の商店街には、その街毎の人情や風情があった。いつの頃からか商店街は、郊外型の大型店舗に喰われ、人通りや臭いがなくなり、音が消え、ついにはそこに住む人の気配すら奪われてしまっている。『シャッター通り』いまでこそ普通に理解できる言葉だけど、…

夏を拾いに 作:森浩美 感想

ミーンミーミーミーン、、、油蝉が鳴く、高く青く抜けるような空、田舎の夏の風景の中でブンちゃんとその仲間たち4人が、少年時代のあの濃密で何をやっても楽しかった時代を描く・・・あの『夏の庭』は、少年と老人の話しだったが、こちらは同じノスタルジ…

霧のソレア 作:緒川怜 感想

無数の陰謀が重なる・・・そこには思いもしない結末が待ってた。 この本、フォックスの「24」に似た匂いがする。どこに真実があるのか、狙いはなんなのか、燃料切れの時間が刻々と迫っている、そこまでしないといけないのか・・・人の命、ロサンゼルス発の…

最後の証人 作:柚木裕子 感想

「人は選ばなかった人生に常に嫉妬して生きていく生き物だ。」 あの時のことを深く後悔しても、あの日・あの時は決して帰ってこない。私自身、人は常に前を向いて、目線を高くして進むべきだし、そうありたいと常に思っている。でも、どうしても過去に引きず…

ボトルネック 作:米澤穂信 感想

自分は、仕事で問題点を指す場合に『ボトルネック』という言葉を使うことがある。ボトルネックという言葉は、相当な難問が横たわっていて、一筋縄ではいかないと想定され、あえて、問題を強調し、メンバーの意識を集中したいときに使っている。この小説のボ…

下流の宴 作:林真理子 感想

他人事とは思えない福原家の在り様が、身につまされる。自分に置き換えたら、高校中退しようとする息子に何といってやれるのだろうか、また、二十歳を過ぎても定職につかず漫喫で働く息子が、突然、年上の女の子を連れてきて、「同棲している、結婚したい」…

6月6日生まれの天使 作:愛川晶 感想

6月6日(正確には漢数字表現の六月六日)とのタイトルを見て「ダミアンって悪魔だよな、それがどうして天使なんだろう」と、本のタイトルに魅かれて読んでみました。この本、章毎に前後する時間の変化は、読み手にある種の錯覚と疑問を抱かせます。さらに、…

思考の整理学 作:外山滋比古 感想

「この本を読んでいないなんて、人生の半分は損している。」書店で、そんな帯を目にして、手にしてみました。結果、読み終えて人生の半分を損しいてたかというと、そんな気は全くしませんでしたが、学んだ点が4点ありました、ご紹介します。 ●外国のことわ…

感応連鎖 作:朝倉かすみ 感想

札幌の名門女子高を舞台に生徒3人とその担任の妻、すなわち4人の女性についてのその感性や行動が描かれているこの本は、読んでいると女性の深層真意にある嫉妬やねたみからくる悪意、自己中心的な考えの畏怖で、背筋を凍らせるようにひしひしと嫌な気持ち…