こころ 作:夏目漱石 感想

「悩む力」に誘われて、高校時代に手にした本を約四半世紀ぶりに引っ張り出し、読んでみました。はじめて読んだ当時は、どう感じたのかすっかり覚えていませんが、読返してみると先生と私のたどたどしい会話の語尾や行間に、にじみでるような感情表現が見えました。恐らく高校時代には見えなかった、感じることができなかったもので、この年になって、世間や人をある程度知ってきたからこそ感じられるものだなと思いました。物語は、超有名小説ですので、内容を書く必要もないかと思いますが、先日理解できなかった「悩む力」に書いてあった作者の言葉が、少し理解できた気持ちになったとともに、名作といわれる小説を40代の今、再度時空を超えて読み返すのもいいなと深く感じました。
先生のまさに暗い生き方・・・きっかけとなった事象・・・昔読んだ内容と当然同じ筈ですが、感じ方は読み手の人生・背景によって全く違うんですね。これが名作と言われる所以なのでしょう。先生の犯したこと、罪の大小はあるかもしれませんが、人間生きているなかで、悔いる功罪のひとつやふたつあるのではないでしょうか。生きることは苦しみもがくことなのです。