趣味

百年法 作:山田宗樹 感想

この本、長編SFなんですが、今年読んだ本の中で『一番』面白かったです! 『百年法』文字通り百年がキーワードなんです・・・本の中の20世紀に、偶然見つかった不老不死ウイルスの研究により、HAVIと言う施術が完成した。成人以降、個人の好きな時期に施術を…

九月が永遠に続けば 作:沼田まほかる 感想

季節は冬になって、9月は過ぎた頃ですが、書店に立ち寄ると、人気No.1と書かれたPOPがあり、思わず手にとってしまいました。 この本、ゴミ出しに行って、忽然と消えた息子の文彦、いったいどこに行ってしまったのだろうか、幼馴染が、クラスメートが、そして…

ファミリーポートレイト 作:桜庭一樹 感想

マコとコマコ・・・親が子を愛する気持ち、子が親を慕う気持ち、ファミリーポートレイトという一見して、温かそうな響きのある言葉とは真逆の世界感がこの本にはありました。 ここには、何かから逃げる生活を繰り返しているマコとコマコの2人。コマコの歳を…

平成猿蟹合戦図 作:吉田修一 感想

いったい誰が主人公だったんだろう・・・タイトルの『猿蟹合戦』があっちこっちにあって・・・というのが読後の第一印象でした。昔話の『猿蟹合戦』は、思い起こすと柿を持っていた「サル」とおにぎりをもっていた「カニ」が物々交換して、カニが柿の種を植…

箱庭図書館 作:乙一 感想 

ボツ原稿を乙一流にリメイクすることで生まれたそれぞれの物語は、それぞれの味やベクトルがあるものの、主人公に連鎖性を持たせることで、それぞれのパズルピースがぴったりはまって一枚の絵を作っているかのようです。匠の技を目の当りにしているようで、…

王様ゲーム 滅亡 6.08 作:金沢伸明 感想

王様ゲーム・・・書かれている内容のパターンが分っていてもまた手にとってしまいました。最新刊が出るたびにどうも気になるんです。『首がゴロン』・『手足が落ちた』などグロい表現があって「次は読むもんか!」って思っていたのに、少し時間がたって書店で…

困っている人 作:大野更紗 感想

病気と対峙するって、どんなに具合が悪くても、強い意志で自分が努力しないといい方向に向かないんだな。努力したぶんだけ好転するのは、病気以外のことと同じ・・。また、どんなに信じていたいと思う医師でも、所詮は『他人』であり『自身』ではない。だか…

四十九日のレシピ 作:伊吹有喜 感想

普通しっとりと執り行われる四十九日法要が、こんなにもたくさんの人たちの想いに暖かく囲まれて大宴会のようになるなんて、その人が生前にやってきた「人と接するときの献身的な優しさ」や「覚悟」が伺えて、すごく幸せな人生であり、そして充実した濃密な…

ツナグ 作:辻村 深月 感想 

一生にただ一度だけ、亡くなった人と会えるとしたら、あなたは誰に会いたいですか? 重たくて神への冒涜のような事柄かもしれませんが、こんなことができるのが『ツナグ』=『使者』なんです。使者の役割は、会いたいと申し出があった死の世界にいる相手に現…

ふがいない僕は空を見た 作:窪 美澄 感想

毎日暑いですね。節電の夏が来て、どうしても逃げられない暑さが襲ってきて、日陰に涼を求めてもコンクリートの照り返しでムッとしていて、なのにメタボの私の体重は増加傾向にあり(関係ないか)、すべてのものに矛盾を感じ、自分の力のなさにすこし嫌になっ…

続・星守る犬 作:村上たかし 感想

前作の「星守る犬」、ブックナビで紹介されていて電車の中で読んだら、失敗したと思うくらい泣けてきた記憶が残っています。今回の「続・星守る犬」も昨日のブックナビで紹介されていましたが、前作とは違った感動があり、非常に勇気づけられる内容になって…

東京タワー 作:リリー・フランキー 感想

ここ一ヶ月いろいろなことが起きすぎました。爪あとは深く、これからも復活への道のりは長く続きます。人は今日と明日が違うように、一歩一歩進むことができます。明るい未来はすごそこにあり、手繰り寄せるのは、私たちです。そのためには、今みんなが力を…

夜の桃 作:石田衣良 感想

この本、全篇に渡り「男と女」のことが書かれているので、公共の場で読んでいると使用されている言葉がそれ風なので、フランス書院文庫に間違われるかと危惧するくらい過激でなま生しかったです。初めは「エッそれがテーマ?!」なんて思いましたが、実は「…

ダイイング・アイ 作:東野圭吾 感想

テレビでは、嵐の相葉くんが「バーテンダー」を演じていますが、このダイイング・アイの主人公の慎介も職業はバーテンダーです。相葉くんのバーテンダーは違いますが、一般的にバーテンダーというと夜のイメージに加えて、斜に構えて悪の香りがするのですが…

あの頃の誰か 作:東野圭吾 感想

最近の東野作品は『まさかのいきなり文庫!』があり、読者としては、単行本より安価に最新作が読めると言う点で非常に助かっています。この流れは、東野作品だけでなくもっと多くなってくると価格的にみても『電子書籍』の対抗になると思うのは、私だけだろ…

MOMENT 作:本多孝好 感想

病院というある種『希望』と『無念』がないまぜになっている環境下で、長期の入院患者で、しかも末期のいわば助からない患者の耳にしか入らない噂がその病院には存在する。それは、死を間近にした患者の願いをたったひとつだけ死の前にかなえてくれる人がい…

小さいおうち 作:中島京子 感想

東京郊外の閑静な住宅街、昭和初期そこにはまだ森や緑があふれていて、自然の中の小さな赤屋根の洋館の佇まいは、落ち着いていて、あったかくって、そして人の気持ちがあった。 昭和の初め、山形出身のタキは、十三歳で東京に女中奉公に入った。奉公先は小説…

王様ゲーム 臨場 作:金沢伸明 感想

ほぼ1カ月、本の感想をお知らせするのを勝手にお休みさせていただいてましたが、やっと少しずつ体も伸ばせるようになりましたので、拙い内容で恐縮ですが、またボチボチ更新させていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 さて、今年の書き始めと…

at Home アット・ホーム 作:本多 孝好 感想

やばいです。この本、わたしのようなミドルエイジの家庭持ちには涙腺が破壊されたように涙が止まらなく鼻水ジュルジュルになれる内容です!ちまたにある通信教育の宣伝で『合格保証』といったものを見かけますが、この本は、家庭持ちで手のかからなくなった…

フリーター、家を買う。 作:有川 浩 感想

このフリーター、ただもんじゃないね。自分で道を切り開けるのだから、いままでの自分を客観視して、悪いところは悪いといえるのだから、こんな人間なら変貌のきっかけはともかくとして、何人でも社員に欲しいものです。 舞台は、主人公の武誠治の家庭と、大…

ラットマン 作:道尾秀介 感想

大沢在昌の『優れた小説を読みたいから、私は彼の作品を読んでいる。それは、私が小説家であることとは何の関係もない。』という解説にグッ〜!と引き込まれて一気読みしました。この作品、期待以上に読み手を楽しませてくれて、大沢在昌が『道尾作品で一番…

麦の海に沈む果実 作:恩田陸 感想

恩田作品って、ファンタジーのような中にも細かい生活や心理描写があり、はじめは不思議感満載でとっつきにくいと思いながら読み始めるのだけれど、いつの間にかその不思議ワールドがあたりまえのもののようになってきて、ついには物語の世界に引き込まれる…

ある日、アヒルバス 作:山本幸久 感想

以前仕事の関係でバス会社様にお世話になったことがあり、それ以来、何かにつけ『バス会社』が気になっています。そんな中で、書店の店頭に黄色のカバーで、すましがちに積まれている「アヒルバス」が目につき、脇目もふれず手に取りました。この本、ごく普…

白銀ジャック 作:東野圭吾 感想

書店のPOPで『いきなり文庫!』お得感のあるこの言葉に、素直につられました。(これからは、この形式が増えると読み手にとってすごく優しいですね、と思うのは私だけでしょうか?)舞台は、新月高原スキー場・・・若かりし20代の頃、スキー全盛期で、「私を…

死亡フラグが立ちました! 作:七尾与史 感想

思わずタイトルにつられて手に取った本、期待を裏切る面白さに、つい、ほくそ笑んでしまいました。主人公は売れないフリーライターの陣内、出版業界の最底辺にいることを自らうたう人物だ。その陣内の唯一の収入源が、日本全国の都市伝説をテーマにしたオカ…

ボーナス・トラック 作:越谷オサム 感想

近所の書店に行き「次は何を読もうか」思案していると、地元の作家としてサイン本が出てました。それで、思わず手にしたのが、この本『ボーナス・トラック』です。内容もわからなかったのですが、地元とサインという2つのキーワードだけで、「面白いに違いな…

宿命 作:東野圭吾 感想

先週に引続き、東野作品を読みました。やぁ〜飽きさせない面白さがギッシリ詰まっていてさすがですね、次々読みたくなります。この『宿命』、主人公は親子2代で刑事の勇作。UR電算という大企業の社長が殺されたことに端を発し、元社長の息子で同級生の晃彦と…

卒業 作:東野圭吾 感想

『雪月花之式』ってわかりますか?私は、はじめてこの本で知ったのですが、茶道のカードゲーム(札によるクジ引き)のようなもので、雪:茶を飲む人,月:菓子を食べる人,花:次の茶の準備をする人を毎回札を引いて決めていく。もちろん札には、表に松の絵、裏に…

夏と花火と私の死体 作:乙 一 感想

屍鬼に続いて読んだこともあり、死んでしまった女の子が主人公に据えられていて語るのは特にびっくりもせず、普通に受け入れたのですが、この本、作者が16歳の時に書いたもの・・・というくだりを解説で見て唸ってしまいました。相当上手いですね!ジャンル…

屍鬼 作:小野不由美 感想

秋葉原のヨドバシにある有隣堂の売行きBEST5の1位だったので、読んでみました。5冊、約2500頁余りとボリュームはありましたが納得の一冊で、読後の今の感想としては本のタイトルからは想像できないかもしれませんが、人間というものと生きるということについ…