黒の狩人 作:大沢在昌 感想

大沢在昌の描く『刑事物ハードボイルド』の世界は、いつも変わらぬタッチで相変わらず冴え(佐江)まくっている。過去の大沢作品を全て読んでいるが、この作品は、新宿鮫のようなシリーズを予感させる位、「佐江&毛」のコンビをかっこよく書いている。
物語は、いつもの新宿、日本にいる中国人が次々と殺されるところからはじまる。被害者の共通点は、脇に彫られた「五岳聖山」を表す小さな刺青・・・中国国家安全部と外務省、公安部、外事部・・・また、暴力団と在日中国人の裏社会・・・ひとつひとつの謎を不器用だが、繊細かつ大胆に紐解く新宿署のマル暴担当の佐江と、捜査の支援を行なう中国人の毛・・・お互いを助け、当初の単なる仕事仲間から、無くてはならないパートナーへと進化していく。大沢在昌に新宿のパードボイルドを描かかせたら恐らく日本一だろう。その位、面白くて、一気に全840ページあまりを読み続けました。早く次の作品を出してください。
次回作、もう猛烈に読みたい・・・大沢ワールド全開だ!!!