しずかな日々 作:椰月美智子 感想

高く青い空・にゅうどう雲・土の匂い・蝉の声・縁側・冷えたスイカ・麦茶・・・古き良き日本の夏が"ぎゅっ"と詰まっていて、それを背景に、小学5年の控え目な少年「えだいち」が、すこしづつ成長していく・・・友達とのふれあい、そこには出会いから自転車での冒険、風呂遊びなど『幼馴染』になる過程があり、だれでも一度は感じたことのある少年時代の甘酸っぱさがあふれています。おじいさんが作ってくれる朝食の"大きなおにぎり"、おやつの"ヌカ漬"はある意味魔法のようにえだいちとその友達を結びつけていきます。こんな日本の風景っていいな・・・時間が経つのがそこだけ遅いように感じ、あこがれてしまいます。
こんなシーン描写がありました、風呂上がり縁側で庭を見ながら、おじいさん・えだいち・泊まりに来た親友の三人で、漬物をつまみにおじいさんは冷酒、子供は麦茶で、黙っていても・・・「自分だけの世界をたのしんで、でもそれは、ここにいる三人がいなくては見つけられない世界だった。」・・・こんな濃密な時間って、自分にあったかなと思うくらいうらやましさを感じました。『しずかな日々』ってこういうものなんだろうな!
懐かしい気持ちにさせてもらいました。