流れ星が消えないうちに 作:橋本紡 感想

最愛の人「加地君」を無くし、一人で住む家の玄関で寝起きする奈緒子。加地君とも親友だったが彼の亡き後、奈緒子と付き合っている巧。2人は付き合ってはいるものの、それぞれに恋人そして親友だった加地との想いを引きずり悩んでいる。突然異国の地で事故死した加地君への想いを引きずる奈緒子、親友であるが故また、奈緒子を好きだからゆえ、加地なき今この現状でいいのか悩む巧。その想いは痛いほどわかる。残された者同士、加地を一気に振り切らなくても、すこしずつ忘れて行く自分たちがいるのも事実。

「立っている立場が場所が変わると、同じ風景でも違うように見えるものなんだ。」
「それでもいつか、やがて、ゆっくりと、わたとたちは事実を受け入れていく。そして、そこを土台として、次のなにかを探す。探すという行為自体が希望になる。」

この2文は、この物語の根底を示している。すごく味のある文章で、物の考え方や気持ちの整理の仕方を学ばせてくれているようだ。とても素直に読めました。