光媒の花 作:道尾秀介 感想

あの『向日葵の咲かない夏』以来、久々に道尾作品を読んでみました。あの不思議ワールドは健在ですね!!!『向日葵・・』とは違い日常生活や人間の機微・想いが描かれているものの、最終編の「遠い光」に至ってはどんなふうに理解したらいいのか、また受け止めたらいいのかさっぱり解らず、なんだかそれまでが混沌とした中でも、一筋の光のように「こう受け取ればいい」っていうように導かれているようだっただけに、突き放された感じでした。

この本、6つの短編から成っていますが、短編と短編が登場人物でつながっているので、それぞれの物語のようには思えません。つまり、1編目に出てきた主人公とまわりを固める登場人物が、次の2編目では、先のまわりを固める登場人物が主人公で、新たなまわりを固める登場人物が出てきてというように6編つながっていくんです。だから読み進めていくと、次の編は誰が主人公だろうと先読みしてみたり・・・そんな面白さもありました。

私が読み終えた直後にメモした言葉は、一言、「どう感じていいのかわからない」でした。読み終えた直後の一言メモは、私自身の習慣なのですが、もちろんなかなかこんな言葉は書いていないお初です。それだけ、1〜5編までと、6編目の印象が違うということなんでしょう。いずれにしても、『向日葵・・』もそうでしたが、もう一度読んで、しっかり道尾ワールドを楽しまないと!とそんな気持ちにさせてくれる一冊でした。