交錯 作:堂場瞬一 感想

青山の時計・宝飾店で起きた高級時計盗難事件、そして、新宿の路上で起きた傷害事件、2つの事件が捜査の過程で交錯する。あわせて、冷静沈着・頭脳派刑事の西川、そして猪突猛進・行動派刑事の沖田、同期でありながら相反するスタイルで敵対していたこの2人の刑事が交錯する。さらに、それぞれの事件を通じてそれぞれの人間模様が交錯する・・・冷静に見ると、はじめは交わりそうもなく進んでいる無数のベクトルが、時間の経過と少しのきっかけで交錯しはじめる・・・偶然のようにも感じさせるその交錯の妙は、緻密な計算の上で作られていて、そうなるなと感じていても、期待以上のものがあり、脱帽でした。
この本、『交錯』警視庁追跡捜査係というタイトルが気になって、ひさびさの刑事ものを手にしました。まるで、トミーとマツの再来かと思わせるような西川と沖田・・・読み終えた後、古くもあり、新鮮でもある2人の刑事に脱帽で、不思議な満足感がありました。この続き、シリーズになって欲しいものです。