平成猿蟹合戦図 作:吉田修一 感想

いったい誰が主人公だったんだろう・・・タイトルの『猿蟹合戦』があっちこっちにあって・・・というのが読後の第一印象でした。

昔話の『猿蟹合戦』は、思い起こすと柿を持っていた「サル」とおにぎりをもっていた「カニ」が物々交換して、カニが柿の種を植えて『早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ』と言いながら育てて、立派な柿ができると「実を採ってやる」といってサルが再登場して、そのサルが柿の木に登り自分だけ柿を食べて、下から見守っているカニに上から柿の実を投げつけ殺してしまう。その後、そのカニの子供が栗と臼と蜂と牛糞という仲間を集い、親を殺したサルを家に呼び出し、持ち場に隠れた仲間とともにサルに復讐する。・・・といった多々ある昔話の中でも、少しエグさすら感じ、悪行は必ず裁かれるといった教訓のあるお話しだった。・・・この本、その【平成版】というタイトルだから、『だれがサルで、だれがカニだ?で、いったい何があって、どうなるの??』ってことになるけど、ネタバレするから書きません。でも、現代の猿蟹合戦って生活そのものやそれを取り巻くことだったりするのかもしれませんね。

美月・朋生・瑛太、純平・夕子・湊、美姫・高坂、そして、サワばあさん・友香・・・いろいろあるよね、サワばあさん・・・

とても『スカッとする』物語でした。