ハッピーエンドにさよならを 作:歌野晶午 感想

葉桜の季節に君を想うということ・・・を読んで以来、自分には想像もできないようなこの作家が描く作品のシュールな面白さにはまってます。ハッピー・・・は、短編集ですが、去年も読んでまた読返して、知っているのに改めてズシンとくる物語の結末になんだか心地よさも感じられるような気がします。中でも主人公のホームレス"ムラノ"の生活目線で描かれ最後はハッとする『尊厳、死』や、いまどきの高校生の事件を彷彿させる『玉川上死』、自分に身近な地名が出てさらに複雑な親の気持ちを書いている『消された15番』など、何度読んでも天国から地獄へジェットコースターに乗っているような感覚になる歌野ワールドが展開されています。これだけ狙って書けるのがプロですね。皆さんも読んでいただくと、タイトルである"ハッピーエンドにさよならを"の意味も含めて理解してもらえると思います。新刊を探しに本屋に行ってこよっと。