特別法001条DUST 作:山田悠介 感想

2032年、あと23年後の世界・・・ガソリン自動車はなくなり、水素自動車でしかも同じ形に統一、運転はナビに行き先を告げるだけ・・・物を買うにも偽札や偽コインが出回ったため、いったん本物を見分ける機能のついた機械でカードを購入し、それで支払う・・・近未来は間違いなくこんなふうになっているのだろう・・・この小説は、環境もだけども政策や法律まで、近未来でおきる可能性がひしひしと感じるような内容だ!

働けるのに意欲のないニートすなわち未就労で未納税の人を対象に、保護者からの保証金が出ないならば、鬼哭島と呼ばれる無人島への島流し500日、まさに流刑でありそこでの生活は法の庇護下にあるのではなく、自然と死ぬのを待つようないわば棄民(姥捨て山)扱いとするといったDUST法が2012年に可決成立した。主人公の章弘は、家を飛び出しパチプロ生活をしていてDEO(DUST法執行機関)に捕らわれて島送りとなる。・・・この厳しい島での生活は、なぜかLOSTを彷彿させる。・・・食べ物の奪い合いや生き残りを賭けた生存競争は、どこかで聞いたベトナム戦争の話しに似ている。「人が信じられない、信じちゃいけない」そんな極限の状況下でも人は愛を育むことができる。そして、その証が生きる支えとなる。そんな中、ついに死人の山を乗り越え刑期を終える。しかし、そこに待っていたものは・・・はじめは荒涼とした島でのサバイバルだけが書かれているのかと思ったけれど、読み進めてみると、メインに書かれているのは人の情と愛だっ!!!ここ何日かで読んだ2作品はなんとなくオカルトっぽさがあったが、こちらは人がそして国家が怖い・・・でも、もっと怖くてもよかったな・・・山田悠介だけに期待しすぎかな???DUSTされないように一生懸命働いて、納税しなきゃです。ハイ。。。