ブラバン 作:津原泰水 感想

スイングガールズ』って女子高校生ビックバンドの映画がありました。それを思い描いて手に取りました。・・・高校を卒業して四半世紀、アラフォー世代の元典則高校吹奏楽部メンバーが、遅咲きの同級生の結婚披露宴での演奏を目標に再結成する。四半世紀を経て、メンバー集めも一筋縄では行かない。主人公の他片(かたひら)が当時のバンドメンバーとの想い出を語りながらひとりひとりと新たに繋がっていく。事故で片腕を失い再結成のバンドに参加したくてもできない人もいれば、自己破産で住まいを転々としている人、病気で急逝しまった人など、時間の重みが身に沁みる。当時知らなかった人間模様や裏話なども聞こえてくる。メンバー集めはもとより、楽器の調達や練習場所の確保、やっと練習できたのは結婚式の数週間前。楽器を前に当時と変わらぬ笑顔が広がる。やってよかったと噛み締める・・・甦る当時の想い・・・果たして演奏はどうなるのか・・・その後のメンバーは・・・
とにかく登場人物が多くて、頭の中がこんがらかってました。すごくわくわくするような感じを期待していたのですが、淡々とした物語にちょっと残念で、途中読むのをやめていて時間がかかりました。でもすごく印象に残ったエピソードがありました。それは・・・新聞配達で貯めたお金にちっぴり貸してもらい4万円のフェンダーのコピーを買おうと見ていたら、本物を持って本物になるようにしろと店で一本しかない本物のフェンダーを子供の上達を願い買い与える父、決して裕福ではない家庭で、「ええのを買った?」と聞く母、「いちばんええのを買った」と答える父、あこがれの楽器を手にして、感謝感激、親のあたたかさを改めて痛感する。この部分、いつの時代も親が子を想う気持ちは変わらない、非常に美しくこういう気持ちが世代を超えてつながって行く、それを大切にしていきたいですね。