約束 作:石田衣良 感想

この作品のあとがきで作者の石田衣良は、以下のように書いています。
テレビニュースを見て泣くことはめったにありませんが、池田小学校事件だけは例外で、悲しくて、腹が立ってたまらず、気づいたら鼻をすすっていました。生き残った子供たちにエールを送り、なくなった子供たちの魂を鎮るめるために何かできないかと考えた・・・理不尽な犯罪の被害者が苦しみから立ちあがり、人生に帰ってくる。その過程をしっかり書けばあの悲惨な事件から、なにごとかを救いだせるかもしれない。それが、この『約束』になった。
この作品を読むのに、まったくこのような背景をわかっていなかったのですが、あらためてこのことを知り、事件のことを想い、物語を透過してみると、作品のひとつひとつにやさしく励ますようなメッセージがあるのがよくわかります。
短編7作品からなる作品ですが、中でも私のお勧めは「天国のベル」です。子供は親を映す鏡、家庭は唯一無二の憩いの場・・・最後のビデオレターはやられました。電車で、隣に座っていた人に変な目で見られるくらい、朝の通勤電車の中で涙してました。
心を温かくしてくれる私の大切な一冊に当確です。