風に舞いあがるビニールシート 作:森絵都 感想 

この本の帯には「大切な何かのために懸命に生きる人たちの6つの物語」と書いてありました。物語ひとつひとつにはそれぞれの大切なものが書かれていて、その大切なものとは、一般的な「金」・「命」・「家族」とも違ったもっと深いものが現されています。中でも、私が気になったのは、商品クレーム処理の物語『ジェネレーションⅩ』とタイトルにもなっている国際公務員の物語『風に舞いあがるビニールシート』だ。どちらも別々のテーマを描いているが、突き進む・追い求めるといった点では同様な臭いを持ち合わせ、必ず納得いくまで戦う姿勢のある物語だ。こんなに情熱をたぎらせることができるなんてうらやましい・・・こんなに一途に思い込めるなんて嫉妬すら感じる・・・なぜだろう、一気に読み終えたあと、天を仰ぎたくなったのは・・・私の世界観を広げてくれたような気がします。なにはともあれ、もっと森絵都の作品が読みたくなりました。