ひかりをすくう 作:橋本紡 感想

ひたむきで手の抜けない性格と、周囲の期待・・・仕事漬けの都会生活が原因で、精神の器がキャパを超えパニック症候群となってしまう智子。そんな智子を支えて、スローで気の向くままの生活を実践していく主夫を演じる哲ちゃん。2人の生活を見ていると、おいしい紅茶や手作りスイーツ、新鮮な野菜や魚など、食べ物が名脇役になっていて、とてものんびりした暮らしぶりがすごくうらやましい。自分の場合、子供たちに手がかからなくなって、完全リタイアしないと、こうはいかないだろうなと嫉妬すらも感じる。でもそのころには『じじいまっしぐら』で、生活だけでなく動きも完全スローで、スローさを楽しむ余裕はなくなっていて、スローを地でいくだけなのだろう、悔しさいっぱい・・・ちょっと物語の中のスローライフとは違うな・・・この物語、全編癒し系です。子猫のマメ,小澤さん、出てくるキャラそれぞれがとってもいい味です。

"No worries,"he thought,"I'll find a way if I keep going."
(「まあいいさ」彼は思いました。「歩いていれば、そのうちわかるだろう」)

たまには、こんな余裕が必要ですよね。