風の歌を聴け 作:村上春樹 感想

いま売れに売れている1Q84を買おうと思い書店に行きましたが、村上春樹ノルウェイの森といった程度にしか分っていないといったつたない知識の自分なので、最新刊はさておき、まずはデビュー作にあたるこの『風の歌を聴け』で作者を感じたいと思い読んでみました。
いきつけのジェィズ・バーを舞台に、僕と鼠とビールとレコード店で働く女の子が出てくる話しでした。文章は、わざとそっけなく書いてあるように感じます。
この物語から私が勝手に感じたのは、一言『郷愁』です。
後先のことは考えずに無茶くちゃできた学生時代から、社会に出て大人になって家庭をもつ・・・数十年振りに仕事の用事で、戻る実家もなくなっているが、かつて過ごした街に行くことになる。そこで、バッタリ若かりし日に一緒に泣き・一緒に笑った悪友と出会う。「よくやったよな」とか「もう戻れないよな」とか、久しぶりに再会した悪友は、風貌も変わり、飲み物も浴びるほど飲んだビールではなく、お湯割り芋焼酎を啜っていた。もうあのころには戻れない・・・な〜んて、ちょっとノスタルジックな匂いのする物語でした。
正直言って、ストレートに書かれていないところが村上春樹風なのかよくわかりませんが、常に何かを考えさせられるそんな作風でした。