横道世之助 作:吉田修一 感想

土曜『王様のブランチ』の松田(哲夫)チョイス(マッチョイ)のコーナーが無くなってはや2カ月、ブックナビのコーナーはあるものの、地に足がついていないというかナビゲーターが毎回変わるので、一貫性が無くなっているというか、結果あまりブックナビを気にして見ることが無くなってしまった私なのですが、もし、マッチョイが残っていたらあの「今年一番の作品です!」のフレーズが聞ける様な本がこれです。間違いありませんよ〜。だってタイトルからして、あの(好色一代男)「世之助」ですもん。
物語は、バブル時代に18歳で大学入学のため九州から上京した世之助の大学入学4月から翌春3月までと、現在の状況を交互に描いていて、起伏のない穏やかな世之助の生活が、バブル期の癒しにも見え、ちょっとしたエヒソードの積み重ねにすごくこころが温まります。そんな世之助が現在では、こんなことになっている・・・聞き覚えのある事件の被害者・・・なんだか身につまされるものがあり、最後の世之助の母の手紙には泣かされました。
私も今は、40歳半ばですが、カーテンにくるまっての愛の告白など、甘酸っぱいエピソードがたいへん懐かしく、かつ、うらやましく思えました。皆さんも、青春を思い出すきっかけにいかがですか?けっこうはまりますよ。