16 シックスティーン 作:石田衣良 感想

月島のあの4人が高校生になって戻ってきた!あれから2年・・・それぞれがそれぞれの個性のもと歳を重ねているけど、変わらない4人。読み進めるうちに『14』のシーンもよみがえってくる。なんだか懐かしい感もあり、また一方で4人の成長にほほえましい気にもなる。いいですね、数或る2匹目のどじょう(2ndシーズンともいうべきか)の中でも、こいつは本物で、次のシーズンも期待してしまう程いいです。
中でも、もんじゃ「ひまわり」の妖怪にも見える店主の『おばあ』とその出戻り娘の間に入る4人など最高です。変わらないおばあの頑固さと、見え隠れする一人の寂しさ・・・ありがちなストーリーだけど、ぐっとくるものがある。月島の狭い夜空と堤防、そして海の匂いを含んだ川風・・・そこには『人の絆』がある。月島は作者の地元と聞いたことがありますが、月島や佃を書かせたら、路地裏の私道の景色まで細かく描写できるのは石田衣良だけだろう。まさに大都会の中のノスタルジックな空間、そしてその中で自分に正直に生きる4人それにだぶる作者、うらやましいですね。