フィッシュストーリー 作:伊坂幸太郎 感想

ラッシュライフから短編集のフィッシュストーリーへ、伊坂作品は、いつもそうだが主人公や背景などのつながりが作品間にあり、出品順を逆らわずに読み進めると、読み手がニャっとして回顧することが多い。私のような単純な読み手は、そんな状況があっただけで、嬉しくなり次の作品も読みたくなる。
文庫本のタイトルにもなっているフィッシュストーリーは、売れないバンドの話し・・・私的にはそれも面白かったが、最後に収められている『ポテチ』が気に入りました。生まれたときの取り違いで、明暗分ける親の人生・・・子供目線ではなく、子から見る親を描くこの物語は、子の想う親への愛と、親の子への無言の愛が、仙台というフィールドでしみわたるように書かれています。運命のいたずらと言えばやむ負えないで済んでしまうかもしれませんが、突然そのことを知ったとき、できの悪い側にいる息子がとった行動は・・・『ポテチ』だけ5回読み返しました。おじさん世代ってどうもこういうのには弱いですよね。え、なにがポテチなのかって・・・えーと、コンソメと塩味ですよ!!!(涙)