海辺のカフカ 作:村上春樹 感想

カフカって何、猫と話せるナカタさんが探しているものは何、空から魚やヒルが降るってどういうこと、森の奥世界は何だったの、カフカの姉って・・・次から次へと出てくる疑問、それを断定せず臭わせながら語って行くこの本は、長編だけど、それを感じさせない位のスピード感と奥深さに溢れている。私が一番関心したのは、異色なキャラクターの中にありながら、もっとも解り難く、それでいて解り易い大島さんの話しが、一見難しいようだが、一番世の中が見えていることだ。性同一性障害の女性でしかもゲイなんてキャラは、到底思いもよりません。なんだか嵌められたようでした。また、星野さんがナカタさんによって、変わっていく様は、とても美しい情景でした。(そうそう、その後の星野さんのことを映像化しても面白いですよね。)暖かくなったら、この本の舞台となった高松にでも行って、そして、心の甲村図書館を探して、のんびり読書だけの生活にひたりたいですね。主人公の15歳のカフカ君の話しなんだけど、脇を固める一人ひとりが面白くって、そちらに引っ張られ、不思議な気持ちにさせる一冊でした。