感応連鎖 作:朝倉かすみ 感想

札幌の名門女子高を舞台に生徒3人とその担任の妻、すなわち4人の女性についてのその感性や行動が描かれているこの本は、読んでいると女性の深層真意にある嫉妬やねたみからくる悪意、自己中心的な考えの畏怖で、背筋を凍らせるようにひしひしと嫌な気持ちにさせられました。しかし、不思議なもので、嫌なのにその成行や結末を知りたくて先を読みたい気持ちになり、一気に読んでしまった自分がいたのも事実です。
巨漢の墨川節子からはじまり、デブ専の担任の妻で嫉妬深い秋澤初美、節子の自称親友で人の心を読める特技であり悪技を持つ佐藤絵里香、そして最後は容姿端麗で人もうらやむ生活をしている新村由季子。一人が感じたこと・行動したことに対して、絡む相手はその時何を思い何を考えたのかが、裏も表も一体然として詳細に描かれています。女性は強い・女性は怖い・そして女性は表面だけで判断してはいけないと強く感じた私(おじさん)でした。
それにしても、この本、独身の男性諸君には、女性不信になるくらい毒かもね。