王様ゲーム終極 作:金沢信明 感想

3月に読んだ王様ゲームの続きでしたが、今回は『終極』というにふさわしい最後だったのかもしれません。
前回の王様ゲームで一人生き残った信明は転校し、転校先の仲間とは距離を置いた付合いをしようとしていた。しかし、それは自分との葛藤となり、結果、明るくて優しいクラスメートのおかげで、自然とクラスに溶け込んでいってしまった。そんな中、転校して7カ月が過ぎようとした体育祭当日の深夜0:00、悪夢のメールがまた届いた。クラス全員が楽しみにしていた体育祭なのに無情にもまた王様ゲームが始まったのである。迫る時間とキーワードの謎、信頼していた友の本心・・・究極の選択をしなければならないときの人の本音はつらい。気持ちを丸裸にされた人間は、こんなにも自己中心で残酷なのかと思う。そんな中でも、仲間を信じることのできる人間もいる。絆や友情だけでなく、相手を信じる強い心がそうさせる行動もある。この本は『終極』ということもあり、前回と違った最後になったが、脈々と流れる人間の美しいところは、前作同様に伝わってくるものがある。
怖いだけでは無く、『人は一人では生きていけない、数多くの犠牲の上で生きている』と考えさせられる点で、クラス+仲間+王様ゲームは、究極の舞台かもしれないが、読んでいて感じるのは、自分の目の前でこんなことが起きたら正気ではいられないだろうということだ。
最後に鈍感で、前回は気付かなかったのですが、作者の金沢さんは、この本の主人公の信明さんなんですね。(お疲れ様でした。)