屍鬼 作:小野不由美 感想

秋葉原のヨドバシにある有隣堂の売行きBEST5の1位だったので、読んでみました。5冊、約2500頁余りとボリュームはありましたが納得の一冊で、読後の今の感想としては本のタイトルからは想像できないかもしれませんが、人間というものと生きるということについて、考えさせられた気がしています。
物語は、樅の木に囲まれた山間の村『外場』が舞台となります。外場はある種、外からの干渉を許さない古くからの村社会が根付いた典型的な場所で、内向きなところです。そこで起こる原因不明の連続する死、伝染病・感染症など疑って調べるが、一向に解らない死の原因。それらを追う寺の若住職の静信と医者の敏夫、2人とも村の実力者の家系であり、指導的な役割を担ってもいる。さんざん調べたて得た結果は「起き上がり」(屍鬼)によるものだと気付く。でもそれは、村の常識どころか、人知をも超えた存在で、事実でも受け入れられない状況が続く。それでも、死は村に蔓延する・・・屍鬼からすれば、人は生きるための餌であり、村は餌場に過ぎない・・・
ようするに、屍鬼は『吸血鬼』で、襲われた人間も屍鬼に生まれ変わる。果たして村はどうなるのか、静信・敏夫の運命は・・・初めは「どこが面白くて売り上げ1位何だろう?」と思う位つまらなかったのだけれど、1巻の後半からは、先が読みたくて仕方ないくらい物語の中に引き込まれました。冷静に考えると、ある意味都会は、屍鬼に狙われた外場なのかもしれません、改めて思う私でした。