夏と花火と私の死体 作:乙 一 感想

屍鬼に続いて読んだこともあり、死んでしまった女の子が主人公に据えられていて語るのは特にびっくりもせず、普通に受け入れたのですが、この本、作者が16歳の時に書いたもの・・・というくだりを解説で見て唸ってしまいました。相当上手いですね!ジャンルは違えど絢香の『三日月』のようです。

主人公の女の子は、開始早々に木から突き落とされて転落死してしまうのでが、その死体を隠して行く中での『ばれる、ばれない』のハラハラドキドキがジェットコースターのようですごく面白いです。ハラハラは、大人と子供の目線の高さの違いだったり、ドキドキは、大人の生態をよく知るこどもの優等生的な発言だったりして、ほんとうに心臓バクバクでした。「もうどうにかなってしまえ!」と思ったあとのラストの展開は背筋が凍るようでした。(ネタバラシはしませんょ。)

そこまで、物語に読者を引込むのだからこの乙一氏の実力ってすごいですね。感心しました。皆さんもちょっと読んで見てください。私の言ってることが嘘でないと感じてもらえると確信していますょ。