フリーター、家を買う。 作:有川 浩 感想

このフリーター、ただもんじゃないね。自分で道を切り開けるのだから、いままでの自分を客観視して、悪いところは悪いといえるのだから、こんな人間なら変貌のきっかけはともかくとして、何人でも社員に欲しいものです。
舞台は、主人公の武誠治の家庭と、大悦土木という曾孫請けの土木会社。家庭では母親の鬱病、仕事場では母のことがきっかけになりいままでのことを反面教師にした動き、八面六臂の活躍を見守る大人たち、そして、ついに頑固な父をも動かす・・・たぶん一番驚いて、頼もしいと思ったのは父親だろう。怒鳴ることでしか虚勢を張れなかった父親が、終盤に向けて相手の話しを聞くようになり、自分のいままでを反省するように変わる。それにともなうようにリストカットまでした母の病状がすこしよくなる。二宮くんのテレビドラマもすごくいいですが、原作はもっといいかもしれません。『諦めていない武さんは間に合っています。絶対にお母さんのこと、間に合ってます!』このセリフ心にしみました。