ダイイング・アイ 作:東野圭吾 感想

テレビでは、嵐の相葉くんが「バーテンダー」を演じていますが、このダイイング・アイの主人公の慎介も職業はバーテンダーです。相葉くんのバーテンダーは違いますが、一般的にバーテンダーというと夜のイメージに加えて、斜に構えて悪の香りがするのですが、ご多分にもれずこの本の慎介もそういう匂いがします。本物の悪は何なのか、最後の最後まで楽しませてもらいました。

慎介は、過去に交通事故を起こし、自転車に乗っていた岸中美菜絵という女性を撥ねてしまった。その恨みから美菜絵の元夫に、勤務するバー「茗荷」を閉めた直後、頭部を後ろからスパナで強打され倒れた。もう少し発見が遅ければ死んでいたのではと思われるくらいの大怪我だったが、九死に一生を得た。しかし、一部の記憶が無くなってしまった。その無くした記憶とは、岸中の妻の命を奪った交通事故のことで、慎介は自分の記憶を取り戻すために動き始める・・・記憶の断片をたどりながら、謎の女性、瑠璃子に魅かれて行く慎介・・・次第に明らかになって行く交通事故の真実、本物の慎介、そして美菜絵と瑠璃子の関係・・・その時はじめて、ダイイング・アイの意味が解りました。

特にびっくりだったのは、最後に出てくる取り調べの刑事でした。なんだか東野圭吾さんが身近に感じた瞬間で、電車の中でニンマリでした。