夜の桃 作:石田衣良 感想

この本、全篇に渡り「男と女」のことが書かれているので、公共の場で読んでいると使用されている言葉がそれ風なので、フランス書院文庫に間違われるかと危惧するくらい過激でなま生しかったです。初めは「エッそれがテーマ?!」なんて思いましたが、実は「大人の恋」・「大人の遊び」・「大人らしくするには」などが、バブル時代のような背景で書かれていて、羨ましいと思う反面で、いつかみていろ!と闘志を燃やしている自分がいたりして、結構楽しめました。

主人公は、新進の広告会社代表の奥山雅人。広告企画を生業とするプロダクションの社長でありながら、その成功を足掛かりに自分も楽しめる隠れ家的なバーの共同経営者でもある。その奥山が本妻・愛人と絶妙のバランスを上手く保っているところに、運命の女である早水千映と出会う。千映は、ひとまわり以上年下だが、これまでの相手とは全く違って、絶妙な肌の相性を感じる。のめり込む雅人・・・そんな時、突然なにかがはじけた・・・よくあるストーリーのようだが、その中に石田衣良の色を強く感じます。ひょっとしたら雅人のモデルは石田衣良本人なのかも知れません、そんな感じがしました。

それにしても、どんなに暗く辛い夜であっても、必ず朝は来るんですね。だれにでも・・・