趣味

美丘 作:石田衣良 感想

TVドラマで『美丘』がはじまって、原作が石田衣良ということで、読んで見ました。思ったことをまっすぐに表現し、思った通りに行動する。できるようで、なかなかできないことを素で行動してみせる『美丘』、普通の大学生でありながら、火のついた導火線のよ…

王様ゲーム終極 作:金沢信明 感想

3月に読んだ王様ゲームの続きでしたが、今回は『終極』というにふさわしい最後だったのかもしれません。 前回の王様ゲームで一人生き残った信明は転校し、転校先の仲間とは距離を置いた付合いをしようとしていた。しかし、それは自分との葛藤となり、結果、…

インシテミル 作:米澤穂信 感想

サブタイトルが『7日間のデス・ゲーム』、藤原竜也・綾瀬はるか他出演で、映画化されており、10月16日から全国ロードショーということで、ミーハーですが、子供と順番に読んで見ました。中学生の娘は、「すごく面白い!」ということで、作者の米澤さんの他作…

永遠の0 (ゼロ) 作:百田尚樹 感想

今年もあの8月15日が来る。遠く暑い夏の日の玉音放送、『忠誠』『信念』『混沌』『失望』そして、当時熱い想いはあるものの口にしなかった『愛』・・・あの日から65年、あの時の孫世代にあたる私ですが、家族をもって、子を想う視点から改めて戦争を見つめな…

交錯 作:堂場瞬一 感想

青山の時計・宝飾店で起きた高級時計盗難事件、そして、新宿の路上で起きた傷害事件、2つの事件が捜査の過程で交錯する。あわせて、冷静沈着・頭脳派刑事の西川、そして猪突猛進・行動派刑事の沖田、同期でありながら相反するスタイルで敵対していたこの2人…

階段途中のビッグ・ノイズ 作:越谷オサム 感想

ウォーターボーイズ、スイングガールズ、ルーキーズそして、最新はタンブリングと高校の部活の物語って、思わず引き込まれような魅力がありますよね。いくつもの苦難やいやがらせなどを乗り越え、目標に向かってみんなで邁進する。そこには、そのときにしか…

かたみ歌 作:朱川湊人 感想

昔の商店街には、その街毎の人情や風情があった。いつの頃からか商店街は、郊外型の大型店舗に喰われ、人通りや臭いがなくなり、音が消え、ついにはそこに住む人の気配すら奪われてしまっている。『シャッター通り』いまでこそ普通に理解できる言葉だけど、…

夏を拾いに 作:森浩美 感想

ミーンミーミーミーン、、、油蝉が鳴く、高く青く抜けるような空、田舎の夏の風景の中でブンちゃんとその仲間たち4人が、少年時代のあの濃密で何をやっても楽しかった時代を描く・・・あの『夏の庭』は、少年と老人の話しだったが、こちらは同じノスタルジ…

霧のソレア 作:緒川怜 感想

無数の陰謀が重なる・・・そこには思いもしない結末が待ってた。 この本、フォックスの「24」に似た匂いがする。どこに真実があるのか、狙いはなんなのか、燃料切れの時間が刻々と迫っている、そこまでしないといけないのか・・・人の命、ロサンゼルス発の…

最後の証人 作:柚木裕子 感想

「人は選ばなかった人生に常に嫉妬して生きていく生き物だ。」 あの時のことを深く後悔しても、あの日・あの時は決して帰ってこない。私自身、人は常に前を向いて、目線を高くして進むべきだし、そうありたいと常に思っている。でも、どうしても過去に引きず…

ボトルネック 作:米澤穂信 感想

自分は、仕事で問題点を指す場合に『ボトルネック』という言葉を使うことがある。ボトルネックという言葉は、相当な難問が横たわっていて、一筋縄ではいかないと想定され、あえて、問題を強調し、メンバーの意識を集中したいときに使っている。この小説のボ…

下流の宴 作:林真理子 感想

他人事とは思えない福原家の在り様が、身につまされる。自分に置き換えたら、高校中退しようとする息子に何といってやれるのだろうか、また、二十歳を過ぎても定職につかず漫喫で働く息子が、突然、年上の女の子を連れてきて、「同棲している、結婚したい」…

6月6日生まれの天使 作:愛川晶 感想

6月6日(正確には漢数字表現の六月六日)とのタイトルを見て「ダミアンって悪魔だよな、それがどうして天使なんだろう」と、本のタイトルに魅かれて読んでみました。この本、章毎に前後する時間の変化は、読み手にある種の錯覚と疑問を抱かせます。さらに、…

思考の整理学 作:外山滋比古 感想

「この本を読んでいないなんて、人生の半分は損している。」書店で、そんな帯を目にして、手にしてみました。結果、読み終えて人生の半分を損しいてたかというと、そんな気は全くしませんでしたが、学んだ点が4点ありました、ご紹介します。 ●外国のことわ…

感応連鎖 作:朝倉かすみ 感想

札幌の名門女子高を舞台に生徒3人とその担任の妻、すなわち4人の女性についてのその感性や行動が描かれているこの本は、読んでいると女性の深層真意にある嫉妬やねたみからくる悪意、自己中心的な考えの畏怖で、背筋を凍らせるようにひしひしと嫌な気持ち…

ニシノユキヒコの恋と冒険 作:川上弘美 感想

なぜか川上ワールドのあの不思議な女性感覚の世界が懐かしくなって読んでみました。一言、ニシノユキヒコ(西野幸彦)は幸せだったんでしょうか?この本、はじめから終わりまで、西野幸彦の色恋が10篇入った短篇集だけど、男性として羨ましいと思う反面で、…

王様ゲーム 作:金沢伸明 感想

王様ゲーム・・・この甘い響きが懐かしくて、さらに、たまには背筋の凍る思いをしたくて、手にしました。 物語の舞台は、とある学校のひとクラス。クラス全員32名参加の王様ゲームが、0時丁度の一斉メールで始まる。「男子出席番号A番、XXXX、女子出席…

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト 作:酒井穣 感想

この本、1月に初版が出てから相当売れているようです。かなりタイトルに魅力を感じますよね。そもそも教育というのは、『教育しないのが教育』といった会社があったり『新人教育に半年、その後もOJT・フォローUP』と新人傾斜の会社があったり、年度末の予算…

海辺のカフカ 作:村上春樹 感想

カフカって何、猫と話せるナカタさんが探しているものは何、空から魚やヒルが降るってどういうこと、森の奥世界は何だったの、カフカの姉って・・・次から次へと出てくる疑問、それを断定せず臭わせながら語って行くこの本は、長編だけど、それを感じさせな…

思い出トランプ 作:向田邦子 感想

村上春樹を読みながら、部屋の本棚を眺めてみると、村上さんの作品に比べて、見た目がすごく薄い本が目に留りました。手に取るとそれはタイトルバックの絵とともに『向田邦子』の文字・・・懐かしい想いがして、村上さんを中断して約3時間・・・向田ワールド…

閉鎖病棟 作:帚木蓬生 感想

個々の話しが、患者の入院前の物語で、それぞれの閉鎖病棟の生活につながる。閉鎖病棟は、治療の場ではあるけれど患者から見ると唯一の戻れる場所。でも、巣立ちの時は必ずやってくる。完治しての退院・事件を起こしての強制収監・亡くなっての退院、かたち…

フィッシュストーリー 作:伊坂幸太郎 感想

ラッシュライフから短編集のフィッシュストーリーへ、伊坂作品は、いつもそうだが主人公や背景などのつながりが作品間にあり、出品順を逆らわずに読み進めると、読み手がニャっとして回顧することが多い。私のような単純な読み手は、そんな状況があっただけ…

ラッシュライフ 作:伊坂幸太郎 感想

杜の都仙台を舞台にサイペンス色のバラバラ殺人事件や、時勢がかったリストラサラリーマンの復讐や、空き巣、男女の愛憎事件が、同時多発的に発生する。まるで、Rushのごとく次から次へと・・・。ひとつひとつの物語は、それぞれのストーリーを持ち並行して…

掏摸(すり) 作:中村文則 感想

都会の雑踏、その中で生き抜くひとりの掏摸。裏の世界にいながら、非情になりきれず温かい面をみせてしまう。それがいいところでもあり、浸けこまれるウイークポイントにもなってしまう。 ある犯罪に加担したことをきっかけに裏社会の番人ともいうべき冷酷非…

16 シックスティーン 作:石田衣良 感想

月島のあの4人が高校生になって戻ってきた!あれから2年・・・それぞれがそれぞれの個性のもと歳を重ねているけど、変わらない4人。読み進めるうちに『14』のシーンもよみがえってくる。なんだか懐かしい感もあり、また一方で4人の成長にほほえましい…

十二歳 作:椰月美智子 感想

小学校6年生になった4月から中学に羽ばたく3月までの一年、心もからだも子供以上大人未満の微妙な年頃、いままで意識したことのない友達との差を感じ、頭とからだのバランスが崩れてしまうこともままある。主人公の「さえ」は、ポートボール(今の子供は…

悪人 作:吉田修一 感想

一人の普通の若い男が、ふとしたことから殺人を犯してしまう。罪は憎く重いが、それを犯した背景には偶然の積み重ねと、生い立ちからくるトラウマが重くのしかかる。本当に極悪非道な殺人犯なのか・・・読み進めていくうちに、偶然犯した罪に追われる被害者…

そして誰もいなくなった 作:アガサ・クリスティー 感想

久しぶりにアガサ・クリスティーを読みました、自身5年ぶりです。 孤立するインディアン島、姿なき殺人鬼U.N.オーエン、インディアンが次々と消える童謡をなぞるように、一人また一人と殺されていく・・・インディアン島にいるのは、U.N.オーエンに招待され…

横道世之助 作:吉田修一 感想

土曜『王様のブランチ』の松田(哲夫)チョイス(マッチョイ)のコーナーが無くなってはや2カ月、ブックナビのコーナーはあるものの、地に足がついていないというかナビゲーターが毎回変わるので、一貫性が無くなっているというか、結果あまりブックナビを…

造花の蜜 作:連城三紀彦 感想

誘拐事件を題材にした小説はたくさんあります。先日ご紹介した『死亡推定時刻』も富士吉田市を舞台とした女子高生の身代金目的の誘拐が書かれていたのは、私も記憶に新しいです。でも、この「造花の蜜」における誘拐は、ひとことで言うと、『蘭』というクー…